GARMINの話が続いたので、このあたりでまたキャットアイについて。
CATEYE サイクロコンピュータ SMART シリーズ。
サイクルコンピュータが独自に機能を備えて動作するのではなく、計測やセンサー類との連携といった機能はスマートフォン上のアプリに任せて、いままでサイクルコンピュータと言われていたピースは、スマートフォンの外部拡張ディスプレイとして動作する。これがCATEYE SMART シリーズの「ミラーモード」のコンセプトです。
この発想は、CATEYE が始めたものではありません。
自分が知っている範囲では、 WAHOO の RFLKT という製品が、先にこの仕組を採用していたはずです。
あちらは iPhone 専用でした。
もっとも、CATEYE の方は「ダイレクトモード」というのも備えていて、通常のサイクルコンピュータと同じように直接センサー類と接続して使用することもできます。ただし、一部の機能はスマートフォンに依存するため、ダイレクトモードでは使用できません。
この「ミラーモード」方式の長所・短所については、以下のように考えています。
長所
- スマートフォンの高精度なGPSや内蔵センサーを利用できる
- 内蔵するデバイスの種類を最小限にすることにより、コストダウンができる
- スマートフォンやOSの進化に合わせてアプリとファームウェアをバージョンアップすれば、機能や精度を継続的に改善できる。
- サイクルコンピュータはボタン電池で動作するため、スマートフォンのバッテリーだけケアしていればよく、電源管理が容易になる。
短所
- スマートフォンの機種やOS、端末環境など、自社で制御できない要素によって動作の安定性に影響を受ける。
- 機能についてもスマートフォンに依存する。
- Bluetoothという標準規格とは言え、実際には自社製以外のデバイスとの接続が保証できるわけではない。
- センサー→スマートフォン(アプリ)→サイクルコンピュータというデータ連携をすべてBluetoothで実施するため、接続の制御が難しい。
Androidの公式アプリストアである Google Play での Catye Cycling のレビューを見ていると、上記の「短所」にフォーカスしたものが多く、またそれらは的はずれなものとも言えません。
しかし、このサイズと価格のデバイスで、この設計思想を実現しようとするチャレンジを評価したいと思っています。結構難しいことをやろうとしているはず。
そしてユーザーの環境はあまりにも千差万別。不具合と言われる中には、少なからずスマートフォンの機種、OSや設定、他に導入されているアプリといった、キャットアイ社ではコントロールも把握もできない原因によるものを含むでしょう。
それでも「故障だ、不良品だ」「アプリのバグだ」という叱責を受けるはず。
そういった声に対しても、キャットアイ社のユーザーサポート窓口は、丁寧に対応してくれます。
サポート対応の素晴らしさについては、ご存じの方も多いですよね。
アプリのレビューに書き込まれた暴言とも思えるような指摘に対しても、ひとつひとつコメントを返しているのを見ると、さすがに頭が下がります。
ここまでは、技術開発面と、顧客サポート面でのチャレンジですね。
もうひとつ、キャットアイ社は営業面でのチャレンジをしていると思います。
PADRONE SMART + は、日本国内では「ネットでの販売はしておりません。リアル店舗でお求め下さい」
という流通政策をとっています。
自分は、自転車生活のほぼすべてを国内および海外の通販に依存しているので、甚だ不都合な政策であります。
消費者としては不便ですよね。メーカーであるキャットアイ社としても、販路を限定することは、売上ダウンにつながるはず。
それなのに、なぜネットでは販売しないのか?
ここからは言うまでもなく推測ですが、
目的はもちろん、適正な価格で販売されることです。商品の価値に見合った価格で販売してほしい。
いま、この国では、我々大衆は「安ければ良い」と思っています。しかも「安くても、求める価値やサービスは最大限を要求」します。
しかし、そんなことはできないのです。
小売業の競争は熾烈です。同じ商品を売るのであれば、競合する店よりも安く売らなくてはならない。
では、安く売るための費用を、小売業が自らの利益を削って捻出するでしょうか。
そんなことを信じている人はいませんよね。安く売るためには、安く仕入れようとするに決まっています。
安く仕入れられなければ? そんな商品を売るのはやめて、他のメーカーの商品に切り替えよう。
ということになります。
開発コストをかけて、品質管理にも手をかけて、ユーザーサポートも疎かにしない。当然コストがかかるので、そんなに値引きはできない。
そういう商品が、小売業同士の競争に巻き込まれて消えていってしまってもよいのか?
特にネット販売では、価格の比較が容易です。自動的に他の店よりも安い価格を設定するシステムを備えている企業もあります。そういう場に立つのではなく、時間はかかっても、大切に商品を育てていきたい、と考えるのならば。
独自の機能を持った商品を確立して、グローバル企業と対等に競争したい、と考えるのならば。
ひとつの選択肢ですよね。
「そんな面倒くさいこと言うのなら、お前んとこの商品全部外してもいいけど?」 などと脅されながら。
その道を選ぶって、チャレンジですよね。
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ということで、
- 技術面、製品面でのチャレンジ
- ユーザーサポート面でのチャレンジ
- 営業・流通政策面でのチャレンジ
キャットアイ社が3つのチャレンジをしている PADRONE SMART + という商品、少なからず弱点があるのを知りながら使い続けてまいりました。
といいつつ、今回GARMINに手を出してしまいましたが、それゆえ、CATEYE の良さがわかったということもあります。
頑張れキャットアイ。
ではまた。
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